掴み取りに <ラブライブ!スーパースター!! 第10話「チェケラッ!!」感想>

やっと第 4 話の締めが来ましたね。中途半端に終わったままだったのがずっと気にかかっていました。

自分の足で、自分の手で

今回はすみれのお話。

負けぐせとでも言うのでしょうか。一度も勝ててこなかった自分を思うと、まず何か足りないものがあるんじゃないかと嫌でも考えてしまうんでしょうね。だからどうしても自分を信じきれない。そしてその状態で勝負の場に立つから、ポテンシャルを十分に発揮できずやっぱりイマイチな結果に終わる。その繰り返し。

自信は経験によって培われる面も大きいですから、成功体験がない彼女にとって、一度ハマると抜け出せなくなる悪循環なのかもしれません。

今回センターに選ばれながら校内での評判が芳しくなかったことも似たような話なのでしょう。メンバーからもらっていた評価は正当なものなのに、自分が真ん中に立っていいものか戸惑っているから力が出せなくなると。

ミスなく一通りこなしているんでしょうけど、表面をなぞっているだけだったんだろうなあ。目立つ場所にいてもコレといったものがないのでは、見ていて物足りなく感じるでしょうね。センターは他の娘にとの声が上がるのもわかります。

そしてその外野からの声を聞いて、やっぱり自分の戸惑いは正しかったのだと考えを強めてしまう。嫌な方面への確証バイアスですね。再度仲間が自分を推してくれても、当然、同情にしか感じられません。*1 

唯一届き得るのが可可の言葉なのは、タブンお話の熱いところですね。彼女はスクールアイドルへ真剣に向き合っていて、一切の妥協を許さなかった。自分はこの世界を軽んじるような態度をとるから、今まで彼女から反発されできたわけです。そことが今回は逆にはたらく。自分を認めなかった相手の言葉だからこそ信じられると。

それでも差し出されたティアラ――ずっと憧れていた主役の象徴――をそのまま受け取るのではなく、こぼれ落ちそうになるところを自分の足で追いかけ、自分の手で掴む。第 4 話に対するいい回答でした。

ところで

今回は要素が詰め込まれすぎていて、正直ちょっと良くわからなかったというのが本音です。

スポットライトに当たりたい願望があり、幼少期から努力はしてきたが、もう一歩のところでずっと叶わないまま。これがまず平安名すみれの背景でした。そういう運命にあるのだと自分に納得させようとしていたところで、諦めるにはまだ早いと言われたところまでが第 4 話です。

その続きのお話が、自信が持てなくて逃げ出していたということなのですが、これどこからやってきました? 本エピソードだけ見れば、前項で述べたように彼女の機微は理解できます。でも答えのないまま終わった 4 話*2 の続きにはないのですよね。成功した自分を夢想しながらも実際には怖くて最後の一歩を踏み出せなかったというのなら、自分の「運命」に嘆いていたのがとんだ茶番になってしまいます。

また、他の生徒たちの意見に振り回される姿勢も、こちらは冗長だという点において繋がっていません。ダメ出しを受けてそれで諦めるのはもう済ませています。もう一度やる意味がないんですよ。前の話で「諦めない」という結論を出してあるのですから、少なくともあと一手指さないと*3 物語の積み重ねにはなりません。

もう一点。今回は可可がすみれの態度を見直し、その言葉が届いたからすみれは変われました。すみれの真摯な姿勢が自らに返ってくる綺麗な構図ではありますが、これまでの彼女の態度って、そんな可可が認識を変えるような真面目に向き合っているものでしたか。

スクールアイドルを下に見る発言はただのポーズ*4 なので脇においとくとして、引っかかるのは前回第 9 話冒頭、ラブライブ!の説明パートです。すみれはあそこで初めて大会の概要から知った様子でしたけど、どうして自分で調べてないんです? この世界に入った目的を一番叶えられそうな場所ですよ。そんな情報も仕入れていないなんて本気で向き合っているようにはとても見えない。

……と、なってしまいまうんですよね。細かい点なのかもしれませんけれど、さすがに本エピソード自主練シーンとの齟齬が大きすぎます。

可可-すみれラインに関しては他にもあって、特に『常夏☆サンシャイン』で見せたような息の合ったパフォーマンスをしておきながら、実は認めてなかったでは説得力に欠けると思うんですよ。Sunny Passion に褒められていたのは何だったのかと。

このあたりはすべて、二人の関係を半年も寝かせておいた弊害でしょうね。もしこれが初期の頃のお話だったなら腑に落ちる描写だったように思います。

*1:ここは明確にかのんちゃんのミスだと思います。他の生徒は所詮外野です。プロデューサーやディレクターじゃないのだから、何を言われようと聞かない選択肢はアリ。でも自分たちから募っておきながらその意見を取り入れないなら、少なくとも説明責任は生じるんですよね。すみれに「同情で~」と言われていたのは、みんなが思うだろう疑問と同じものでした。そこで反論できないのはマズい。推すのが感情的な理由からだと捉えられてもしかたありません。

*2:お膳立てを全部かのんにやってもらって、すみれはついぞ動かないままのエンディングでした。

*3:最終的にすみれから変えるにしても、グループをどうしたいのか交代の理由を話し合う必要があるでしょう。言われたから投げ出すようではちょっと。

*4:可可はここに反発していたようですが、本当に見下していたらその世界でやっていこうとは思わない。