客観視する <ラブライブ!スーパースター!! 第9話「君たちの名は?」感想>

拍子抜けするほどあっさり物事が進んでしまって、その感想と言ってもどう書きましょうね。

名は体を

表すと言います。それを決める今回はすなわち、グループの方向性を決めるお話でした。確認すると言った方がより正確かもしれませんが。

まず思ったのが、エピソードタイトルが「君たちの名は?」となってて、「私たちの~」ではないところが興味深いなと。ここで問いを投げかけている主体は何になるんでしょう。

大会へ申し込む際に、彼女らはグループ名が必要だと気づき、そこで初めて問題が持ち上がりました。きっかけが外部によるものなのだから、当該エントリーシートに問われたと見るのが素直な受け取り方でしょうね。でもそれではつまらない。笑

外から問われたことで彼女らも疑問を抱くんですよね。自分たちは何者なのだろうと。そこで、これこれこういうビジョンを持って活動していて目的や目標は何々だと言えるなら、名付け一つに苦労はしません。

各々個人的な参加理由はあるものの、なんとなくで集まってなんとなくで活動しているから、グループとしての芯がなかったのですよねえ。それでもメンバーの能力や性格がうまい具合に合致していたから回っていたのです。その現状で改めて「自分たちは」などと考えても、中心がないのだから当然それを表す言葉だって見つかるわけがない。かのんちゃんの苦悩は、なかなか大きそうでしたね。

ウチから見てダメなら、ソトから眺めてみるのも一つの手です。ナナミちゃんたちとの会話にヒントを得て、自分たちがどういう環境にあるのかを見つめ直してみると――。

始まったばかりの学校で出会った 5 人。まだ何色にもなっていない集まりだけど、個々は能力も高く特色もある。予想もできない、ワクワクするような将来性は確かに見えてきますね。特定の目的を持って集まったわけじゃないからこそ、その先に期待できるものがあり、楽しみになる。

こういった漠然としたことは、主観的に見ていては多分出てこないんじゃないかと思うんです。自分たちを客観的に見て、初めて強みに気づけるんだと。

で、その客観視する姿勢が「君たちの」に掛かるのかなあ、なんてことを思ったわけです。タイトルの出し方も特徴的でしたものね。頭の上に文字で、彼女たち自身の頭に浮かんだ疑問を表すのかなって。*1

出典|アニメ「ラブライブ!スーパースター!!」第9話

これからに期待

ところで、「結ばれた 5 人のこれからに期待」ということで今回は決着でいいんでしょうか? 一応きれいにまとまった風で締めてありましたが、お話はそのコンセプトに沿った作りではなかったように思うんですよね。

生配信のわちゃわちゃや缶詰騒動などは、(それ自体は楽しめたものの)エピソードの流れの中では、メンバーがバラバラであることしか示してくれません。そういった、結論とは逆方向のものばかりは並べてあるのに、肝心の「結ぶ」を示すカットが見当たらないのです。これでは説得力が感じられない。

ずるいですよ。わたくしたちにだけ押し付けて
かのん
ずるいよ。私にばっかり押し付けて

このセリフもわざわざ対応するように言わせてあるわりに、回収がちぃちゃんの「頼ってばかりでごめん」だけでしたよね。釣り合いがとれてるとはちょっと言い難い。

出典|アニメ「ラブライブ!スーパースター!!」第9話

話運びだけでなく、演出もあまり良くなかったように思います。差があったり対立したりする画を見せておいて、最後の結論はそのままかのんちゃん一人のシゴトですか。「結ばれる」要素がないんですよね。

(これは完全に個人の感想になってしまうのですが、特に左の画像が嫌いなんです。段がある立ち位置で横から撮った意図がさっぱりわからない。どうしてグループ内で序列のようなものができてるんですか。

何を見せられているの

出典|アニメ「ラブライブ!スーパースター!!」第9話

ホントこんな感じで。笑)

まあグループ名はともかく、歌詞をかのんちゃんに任せるのは構わないのですよ。得意とする分野が違う彼女たちなら、分担・分業は当たり前です。人数が多いからいいものができるとも限りません。逆にまとまらなくなる可能性だって出てくる。だからやってもらっている間に他の準備やら練習やらをすると。

詞が上がった後は、今度は曲の恋ちゃんの番になりますし、その後はダンスでちーちゃんですものね。一人に負担をかけているわけではありません。

でもですよ、「結ばれた」ことを言いたいなら、バラバラの作業を強調するのではなくて、つながるところを見せましょうよ。詞から曲への引き継ぎの様子だとか、ダンスを考えるうちに詞や曲に「こうしたらどうか」みたいなフィードバックが入るだとか、可可の熱量がそれぞれの作業でヒントや原動力になるみたいなところとか、すみれがノウハウ生かして形に落とし込む際のアドバイス入れるだとか。5 人の良さは冒頭で提示してあるのだから、それを生かしてほしかったなあ。

*1:演出はよくできていると思いますが、人の頭にモノを乗せることそれ自体が苦手なので、今回のタイトル、ワタシ的にはナシで……。タイトルは視聴者に見せるものであって、劇中の人物たちには意味をもたないのです。彼女たちにしてみると、知らないうちに勝手に乗せられてるってこと。許しがたい。