「まだ」か「もう」か <ラブライブ!スーパースター!! 第7話「決戦!生徒会長選」感想>

第 7 話はとても気になるところでお話が切られていましたね。出ている情報だけではまったくもって状況が不明瞭で、恋ちゃんの真意もわかりませんので、どう感想を書いていいものやら悩んでいます。

孤独

お話は、A パートがすみれを中心?に置いたコミカルな*1 選挙戦。B パートからはメンバーたちが恋ちゃんの様子を探る様子が描かれていました。恋ちゃんのバックグラウンドは重そうですから、軽いトーンでの話運びはありがたいですね。またコントラストのおかげで、ラストの短い尺の中に事情の深刻さが際立って見えたように思います。

後半、葉月さんに事情を聞く前のシーンで 4 人が屋敷の中を駆け回っていましたね。ギャグテイストなタッチの一方で、描いている内容は重めのものを示唆していたのが印象的でした。

部屋がたくさんあるのに使われていそうな場所は皆無。家具には布がかかっており、他の調度品は見当たらない。あの大きな屋敷の中に、人の気配や生活感が全くないのは不気味でさえあります。目についたのは応接室のトロフィー類と、壁にかかっていた写真、そしてアルバム。過去の思い出ばかりで「今」や「未来」を示すものがないのは、あまりいい雰囲気とは言い難いかなあ。

しかしガランとはしていても荒れているように感じさせない。庭も手入れがなされていました。没落はしているのかもしれないけれど、うらぶれてはいません。

恋ちゃんの「ガワ」を象徴する屋敷はそんな感じな一方で、その中身、住む人間もメイドのサヤさんが来月からいなくなるなら実質一人だけと、こちらも寂しい限りです。

一人といえば彼女は学校でもそうでしたね。気配りができて社交性もあるから学友との付き合いはあるようですが、それどまり。背負ってるものが大きすぎて近寄りがたい壁ができちゃってるんだろうなあ。*2

もし手伝うことあったら言ってね
じゃーねー

だからクラスメイトはあっさり帰るんですよね。彼女らの申し出は口だけで、選挙では一人だけで戦っていたんじゃないかなと。普通科側が(なんだかんだ言いながらも一応は協力して)すみれを立てていた A パートの「裏」を想像すると、ここでも恋ちゃんの孤独が際立つように思います。

普通科側の選挙

普通科側にも少し目を向けましょうか。こちらの選挙はこちらでそれなりには難しくて、主目的が後ろ向きなんですよね。やる理由が恋ちゃんを阻止するためだけでは戦いにくいでしょう。

メタ的にはプレイヤーが 4 人しかいませんから、その中で誰かを擁立するなら、まずかのんちゃんですよね。正義感があって、他人のために動ける娘。可可やちぃちゃんが推していたのはその理由からだと思います。

ただ本人がその気にならないのはわかります。元々その手のもので目立つのが得意じゃないというのがまず一つ。加えて、問題になっているごく一部分を除けば恋ちゃんが理想的すぎるとあっては、押しのけてまでとはなりにくいでしょう。恋ちゃんの事情が気にかかっていることもあって、かのんちゃんは話し合いでなんとかしたいんですよね。

千砂都
かのんちゃん、とりあえず話そう
話せばわかるから

それを説得に入るちぃちゃんのセリフは、これ、見事にカウンターになっていますね。彼女が恋ちゃんにしようと思っていることと一緒です。「話せばわかる」は「話せば(こちらの言いたいことが)わかる」ということ。結局のところ意見の押しつけなのでしょう。一方的に言われても聞く気になんてなれません。*3

そして説得に回るちーちゃんと可可は材料に乏しいんですよねえ。普通科から候補を出したいだけじゃ、別にかのんちゃんである必要がないわけでして。他に出る人間がいるならそれで話が終わってしまいます。だから二人は、出たがるすみれに極力触れないようなムーブをしていたのかなと。

残念な結果に終わりましたけど、個人的にはすみれの生徒会長は見てみたかったのです。彼女は常識を持ち合わせていながらも独特の哲学も持ってるので、上手にノセてあげれば楽しい生徒会になりそう。

それでも進む

さて、恋ちゃんに話を戻しまして。

私にはまだお母様が遺してくれた結ヶ丘がありますから

恋ちゃんは強がりますけれども、「私にはもうそれしかありません」としか聞こえないのですよね。

そしてその最後の一つを守るために必死になるのもわかりますが、あまりにも大きいものを抱えるのが、たった一人では潰れますよ。

生徒会長の就任演説は、問題の部分が用意していたのとは別の内容か、あるいは付け加えたものでした。しばし逡巡していたことを考えれば、正しくないことだと自ら理解しているのは見て取れます。それでも進まなくちゃいけないのでしょう。が、自分だけが悪者にならなくてもいいと思うんですけどね。

お母様がらみの話は確かに恋ちゃん個人の問題で、他の生徒を巻き込むようなものではないでしょう。しかし、存続云々やそのために学校をどう盛り上げるかは皆に関わってくる話です。一方的に「決定しました」ではなく、そこだけでも問題を切り分けて、相談できる相手を見つけられると良かったんですが……。気を張るために一人でいつづけた弊害かなあ。

*1:コミカルと言ってしまって良いものか迷いますが、一応。

*2:下手をすると、一番打ち解けているのって澁谷さんたちじゃないです?

*3:実際、自分がここで話を聞こうとしなかったのと同じように、後の場面では逆に恋ちゃんにこっぴどくフラれていました。当然だったのかもしれませんね。自陣側の視点、つまり「どうすれば活動を認めてもらえるのか」の考えでしか、話をもっていってなかったのですから。