眩しい彼女 <ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第 4 話 「未知なるミチ」感想>

たった 24 分の間に、何回「楽しい」や「面白い」が出てきてました? 楽しいを求める愛さんの素敵なお話でしたね。ただ彼女はあまりにもポジティヴで、私にはちょっと眩しすぎました……。

盛り上がってるみんなを見て ――

自分も未知なるミチにチャレンジしてみたいって、そう思ったんだ。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

まずは冒頭からガツンと持っていかれました。前回最後のせつ菜のライブのシーンで、愛さんもスクールアイドルというものに惹かれていたのは見えていた。しかし、それはせつ菜自身やそのパフォーマンスに対してだけじゃなかったんですね。彼女が成した場の盛り上がり、見ている皆と一体となって作り上げている雰囲気、観客一人ひとりが楽しんでいる様子に意識が向いていたのには参ります。

誰だってふと見かけた何かに惹かれ、心奪われることはあると思います。たとえばスクールアイドルとかですね。笑 それでも大抵の場合目が向くのはもちろん、その惹かれた何かじゃないでしょうか。その場で周りの様子を気にするなんてあまりしないはず。実際あのカットでは愛さんの行動だけ浮いて見えたように感じましたし。

これだ、と思う基準が人と少し違うんだなあ。

ところで、スクールアイドル同好会って何するの?

それで、楽しそうな何かを見つけたら、空手でそこに飛び込むのもスゴイなあと。私だったらまずアレコレ調べてそれから――って、絶対そうなるんですけど。(侑ちゃんや歩夢も寝不足になりながらも色々見てましたね)

ま知ってる人がいるなら直接聞いちゃったほうが早いし、間違いがないのは確かです。でも、気後れせずに人に聞けるのはとても羨ましい。その聞くやり取りそのものも楽しんでそうですし。

私なんかは相手の邪魔にならないかとか考えてしまって、うまくできないんですよ……。

楽しい

たのし・い (形)充足感が味わえるものとして、その状態を積極的に受け入れたい、出来ることならそれを持続したい気持ちだ。(新明解国語辞典 第七版)

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

さて、どの方向に進むかは同好会もまだ悩んでいるところで、それを相談する会議で愛さんはとにかく楽しいのが良いと言うわけですが――。

何だかふんわりとした意見ですね。「楽しいの」。具体的な興味の対象が挙がるのなら分かりやすいんですけど。楽しいって何でしょう。

まず、興味の対象、せつ菜の言葉で言えば大好きは人それぞれですよね。

同好会の面々はその大好きがあまりにもまちまちな様子で、会議はなかなか面白いことになってました。見てた璃奈ちゃんは少し面食らってましたっけ。*1あれをまとめるのは大変そう。

同じものが対象なら人と足並みも揃えられるのでしょうけど……。うーん、それでも大好きの目的地が一緒でも、出発点が自分なのには変わりがないから、究極のところでは人と一緒にはなり得ないのかなあ。

好きの方向は重ならない?

翻って、それらを通して得られる「楽しい」は共有できる、ってことでしょうか。人が楽しんでいるものに混ぜてもらうとこちらも楽しくなりますし、逆もまた然り。一緒に盛り上がれると楽しさはいっそう大きくなります。

一緒になれる

この辺りはぼんやり考えていただけで、実は考えがまとまってなかったのです。でも生春さん(@Time_mrsi)のブログ(以下にリンク)を読んで得心がいきました。なるほど、大好きと楽しいはベクトルとスカラーの違いでしたか。

楽しいという状態にあるのは熱量だけで、そこに方向性はない。だから人と共感・共有することに親和性がとても高いと。彼女が大事にしているのはそれなのかあ。

愛さんは会議ではすごいやる気だね!と皆の熱量を評価してましたものね。興味の対象が違っていても、人が熱意をもって語っているのは好ましく感じるものです。何かを通して、楽しいという好ましい状態をみんなと共有したい。それが愛さんの求めるもののようです。

道・未知・ミチ

ところで愛さんの交友関係が広いのは、人の輪の中に居るのが好きだからなのも理由の一つだろうとは思ってました。

しかし、あちこちの部に助っ人に出て、そこではしっかり力になっているのに、個々の競技にはさほど興味を持ってなさそうなのが気にかかってたんですよ。璃奈ちゃんに聞かれたときには、むしろはんぺんのほうに一生懸命みたいでしたし。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第2話

運動部の助っ人はいいの?

この後行くよ。

みんなと一緒に何かをするだけが彼女の求めるものではないのかな。楽しいから、やりたいからやってるのは確かでしょうけど、どれも心奪われる程じゃなかったんでしょうか。まあ、だからこそ一つの部活に入るのではなく、助っ人を頼まれるままに、あっちこっちをつまみ食いするだけに留まっていたんでしょうけど。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

正解が一つならわかりやすいよね。

それで新しく飛び込んだ、何をやったって正解のスクールアイドルの世界で、自らの方向性を探すにあたってこのセリフですよ。何でもこなせる優秀な人の言葉だなあ。*2

でも、言わんとすることは分かります。正解が見えてるなら、後はいかにそれを上手くこなすかだけの問題になりますものね。

そして、それまで何をやっててもいまいちノらなかったのも、ここに一因があるのかなとも思いました。進むための道のりが見えていると、その先々での自分が想像できてしまって新鮮味が感じられないとか、そういうことでしょうか。

この新しく模索するミチが愛さんの求めていたものの一つかな。初めて一人でやることに、どうすれば良いか悩んではいるみたいですが。

悩んで、答えはそこにあって

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

みんなの輪の中にいていつも楽しそうにしている彼女が、一人学校から帰ったり、黙々と走ったりなシーンは印象的でした。考える時間って大事ですものね。

ここに来てやっと、やっと、やっっと私が共感できる場面ですよ。完璧超人でずっと遠くにいた彼女が、少しだけ身近に感じられてほっとしました。

歩いたり走ったりはあまり意識を割かずにできるから、考えをまとめるのに向きますよね。あと、気掛かりがあるときになんとなく早く準備できてしまって、手持ち無沙汰で、時間よりずっと前に家を出てしまうその気持ちなんかも、とてもよくわかります。

ですがそれはそれとして! ランニング練習をするための集合場所にランニングで向かうって、とても共感できませんよ!?*3 やっぱり私とは全然違うタイプなのかも……。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

そんなことで良いんだ!

エマちゃんと話すうち、答えは元々自分が持っていたと気付くわけですが――。

正解が無数にあって一つに決まらない、何をやっても良い場なら他にもあります。何かを創り出すクリエイティブな分野なら大抵そうかな。でもその中でみんなに楽しんでもらえて、自分も一緒に楽しめて、そんな楽しいをみんなと分かち合えて、そういったミチを探していけるものは多分少数だと思います。

スクールアイドルとは、本当に良いのを見つけましたね。

しかし、それまでも無意識でやっていた楽しさの共有を、今度は意識して届けるようになるのだとしたら、どれ程のものが出来上がるんでしょう。

独りじゃない

最後の即席ライブでは、愛さんがステージに上ってないところがいいなって。観客と地続きでずっと距離が近く、より楽しさを分かち合える気がします。子どもたちも一緒に踊ってましたね。楽しそうだったー。

楽しいを届けるその相手も味方に取り込むところに、愛さんの凄さがあるのかな。ソロアイドルは一人だけど、独りじゃない!

そして、冒頭でも同じように思いましたが、これかもと思ったら真っ先に飛び込んでいけるのも強いなあと。ソロで行くことに不安を抱えていた皆に先駆けて、自分の形を真っ先に見つけ出してましたものね。同好会のメンバーもそれで勇気をもらった様子です。

とまあ、ほぼ全編に渡って愛さんの凄さ、眩しさにやられっぱなしでした。でも、私も何かにつけて尻込みばかりしてないで、彼女を見習わないといけないなあ。そんなことを思った第 4 話でした。ちょっと勇気をもらったよ。愛さん、ありがとう!

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

*1:表情に出てないから、面食らうは不正確ですか?

*2:せつ菜が期待されるのは嫌いじゃないと言っていたときにも思ったんですが、私が多方面にポンコツなもので、出来る人の心の機微がなかなか読めないんですよね。

*3:私はランニングかあって言ってた歩夢派閥です。