手を携えて <ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第 7 話「ハルカカナタ」感想>

初っ端のカットに映る SOROR*1 の看板の通り、第 7 話は姉妹のあり方についてでしたね。スクールアイドルを話題にしつつも、自分の夢にどう向き合うかの直接的な話ではなく、人間関係にテーマの比重が置かれていたのが印象的でした。お互いをおもい合う彼方ちゃんと遥ちゃんの姿は素敵でしたね。

Side ハルカ

姉妹の話なので、項目を分ける必要もなかったのですが、私が見ていた流れで話させてください。まずは主に遥ちゃん視点から。

お姉ちゃんはスーパーウーマン

アルバイトと家での様子から始まったアバンは、最初違和感の塊でした。すぐにはピンと来なかったのですが、食事のシーンでやっと気付きましたよ。彼方ちゃんが脱力してない!

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第7話

同好会でもしゃんとしている場面はありますけど、机に突っ伏しているか、人にしなだれかかってばかりいる印象が強くてですね……。他の面々がみんな姿勢いいから、彼方ちゃん一人目立つんですよね。

テキパキ動いていて、それをずっと維持している彼女を実際に見るのは、不思議な感じがします。

彼方ちゃんは食卓の定位置が、多分台所に一番立ちやすい場所?っぽいですね。食いごとの世話はお母さんよりも彼女がメインでしょうか。いないのが当たり前なのか、食べ始めてから遥ちゃんがやっと尋ねたお母さんの様子も、ちゃんとシフトを把握してました。あと、本人にも話を聞いていてるんでしょうけど、遥ちゃんが毎日遅くまでスクールアイドルに打ち込んでいるのも、彼方ちゃんは知ってました。

ここでの様子をみると、(けしてワガママではないけれど)好きなことだけを自由にやらせてもらってる娘と、家のことを一手にこなす母親のような印象です。

他にも、遥ちゃんは床に就く描写があるのに、彼方ちゃんが寝てる様子が描かれてないのもなかなか。深夜勉強するシーンからすぐに早朝へ飛んでるのは、これが遥ちゃんから見たお姉ちゃんなんですね。本当にいつ寝てるのでしょう。

我々が知ってるすやぴ彼方ちゃんとは全然違います。スーパーウーマンかな?

同好会活動参観

お姉ちゃんは家のことを何だって一人でやっちゃって、手伝いさえもさせてもらえない。私ばかり好きなようにやらせてもらっているのは、気がひける。そんな折、お姉ちゃんも自身の夢を楽しそうに追っているのを知ったら、その様子を覗きに行きたくなるのは自然ですね。

無駄に張り切る彼方ちゃんもかわいい。身内が見学するときって、こんな感じになりますよねえ。でもちょっと空回り気味でしょうか。*2 ほら彼方ちゃん、ストレッチでは息を吐いて。

ここでは「同好会が再開してから」のセリフがちょっと気にかかったんです。第 1 話でお昼寝から起きたとき「せつ菜ちゃんに怒られる」と慌てかけてましたよね。何かをするのに「怒られるから」が行動原理になるのは、あまり好きじゃない考え方かな。当時はそこまでは楽しくなかったんだと察せられます。同好会が素敵な場所になって良かったね。

さて、私や家のことから離れた場所では、目一杯スクールアイドルに励んでいたお姉ちゃんを見て、遥ちゃんも一安心したことでしょう。お姉ちゃんも、私のためだけじゃない自分自身のやりたいことを持ってる。すごく楽しそうに、生き生きしてるし……?

私が知らなかった顔

談話中に寝落ちするのにはびっくりしました。でもそれ以上に驚いたのが、同好会メンバーが誰一人として慌てないことです。

すっかり遥ちゃん視点で見ていたので、後になるまで気付けなかったんですけど、彼方ちゃんって、そういえばよく机に突っ伏してましたね。その状態でなら、みんなと話をしている途中に気がついたら寝てたなんてことがあっても、さほど驚かれないのは納得です。みんなそれで慣れちゃってたんでしょうか。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第4話

前回練習中に寝だしたのは、長く息を吐いている時でしたっけ。今回は、普段なら要所々々で休めるはずの同好会で、ずっと気を張ってましたものね。それどころか妹にいいところを見せようと、いつも以上に頑張りすぎでは体が悲鳴をあげるのも無理はありません。

よく寝る彼方ちゃんは、遥ちゃんが知らなかったお姉ちゃんの顔ですね。ここでの彼女の驚愕が、アバンでの違和感の裏返しになるのでしょうか。膝枕をしてもらって甘えてる姿なんて、想像もできなかったかも。

問題なのは、明らかにオーバーワークなのに彼方ちゃんはそれを苦にもしてないことです。それどころか無理をしているとさえ思っていない。学校は適度に力を抜くいい場所だったのだと思いますけど、結果としてそれを遥ちゃんに隠すことになっていたのも、事態をややこしくしてますね。

わからずや

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第7話

心底心配する遥ちゃんと、何を言われているのかさっぱり分かっていない彼方ちゃんのやりとりは、いたたまれなかったです……。

無理しているのを知ってしまった遥ちゃんにしてみれば、自分の夢はお姉ちゃんの犠牲の上に成り立ってるようにしか見えません。

もういいの。お姉ちゃんにはやりたいことを全力でやって欲しいの。

遥ちゃんが結論ありきで、いきなり辞めると言い出した気持ちは分かるんですよ。今度は私が背負うべき だと考えてしまうのも。

彼女は今まで 100%、半ば無理矢理に与えられるばかりでした。何か手を出そうとしても いいよ、いいよ で全部断られ、何もさせてもらえない。ずっとそれで来ていれば、どうしても譲れない今、意見の通し方が極端になるのもやむなしでしょう。

一方で、彼方ちゃんにとっても妹は守るべき対象です。ですが、心配をしてくれている相手に 気にしなくていいもっと頑張る はダメだと思うんだ……。そりゃ怒られますよ……。

お互いが大事に思っているはずなのに、どうしてこうなった。

Side カナタ

呆然とするだけの彼方ちゃん*3 でしたけど、素敵な仲間たちがいて良かったですね。

おもい合う

 もう守ってもらうだけの人じゃないと思う。

侑ちゃんの言うように、まず彼方ちゃんの意識が、遥ちゃんの成長に合わせてアップデートできてなかっただけの話ですよね。大好きな妹の幸せを願ってアレコレやるのもいいけれど、一から十まで全部お膳立てしてあげなくちゃいけない時期は、もうとっくに卒業です。

まあ、それで今まで頑張ってきてた彼方ちゃんを、ただ責めるのは酷だとも思いますけれども。遥ちゃんが素直ないい子に育ったのは、お姉ちゃんの頑張りに因るところもきっと大きいでしょうからね。お姉ちゃんお疲れさま。

おっと、話を戻しまして。

相手をおもっての行動なのに、相手がどう思うかが、そこから落ちているのでは寂しい話です。そしてこれは遥ちゃん側も同じでした。だからすれ違うんですよね。

二人がやる "べき" だったのは多分、自分一人だけで抱え込んで済まそうとせずに、相手の気持ちも考慮することでしたね。支え合う。

お互いおもい合ってるんですから、きっと上手くいきます。親身になって相談に乗ってくれて、大切なことを気づかせてくれる仲間たちもいることですしね。

最後、手を取って飛び跳ねる二人を見て、こちらの顔も綻びました。こんなところでも姉妹なんですね。笑

幸せ

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第7話

それ、彼方ちゃんが食べるー!

多分第 7 話で一番好きなセリフです。大好きな大好きな妹が自分のために作ってくれた初めての料理(多分?)。焦げて形も崩れているけど、それでも最後まで諦めずに、少しでもちゃんとしたものを作ろうとした愛情が見て取れますものね。しかも、この手のことは今まで自分が一切させていなかったわけで、つまり手助けしてもらう喜びを味わうのも初めてです。こんなの絶対食べたいに決まってますよ。

ところで、遥ちゃんは自分がすると言った手前、本当に自分だけでやろうとしてたんですね。健気! でも少なくとも料理に関しては、ある程度できるようになるまでアドバイスが欲しいところだと思います。下手な意地を張らずに、教えて欲しいと素直に頼める遥ちゃんはかわいいなあ。最初はお姉ちゃんの手を煩わせることになっちゃっても、それが一番物事がうまく行く方法だと、ちゃんと分かってるのが良いです。

そして、彼方ちゃんの嬉しそうな顔といったら! こんな頼みなら、いくらでもどーんと来い、ですね。

ちょっと違う話

最後に、今週も主題とは少し別の話に言及させてください。

東雲学院ライブのオープニングアクト

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第7話

別の世界線では、彼方ちゃんは東雲からニジガクへ転校してきています。それを知っている私たちにしてみれば、東雲学院のステージで彼女がライブをするのは、ただ他校から呼んだ(実際は押しかけですけど)前座以上の意味を持つのは嬉しかったですね。

"転校でグループを抜けた" 彼方ちゃんが、同じステージにゲストで "戻って" きて、ソロライブをやってくれている。しかも裏事情として、ある意味東雲のピンチを救うために。来てるファン(≒我々)はサプライズに大歓喜でした。よね……?

天と地ほどじゃないけれど

ライブの規模がわからないので単純には比較できないのですが――。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第6話

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第7話


先週の璃奈ちゃんのライブでは、観客の中にニジガクの生徒の姿が目立ちました。しかも黄色リボンだから璃奈ちゃんの同級生がほとんどでしたね。対して東雲のものでは、一般客もかなりの数がいるように見えますし、学生ファンも他校の制服ばかりです。

果林さんと愛さんが言っていた、ニジガクと東雲の知名度の差ってこういうことでしょうか?

かなはるママ

お母さんについては作中ではほとんど言及されていませんでした。分かっているのは夜勤のある仕事で忙しそうにしている、くらいでしょうか。どんな感じの人で、普段姉妹にどう接しているのかが全然見えなかったんですが、最後のカットでそれが垣間見えたのが嬉しかった。娘相手にハートマークの書き置きですか。ママン、かわいいな!

彼方ちゃんと遥ちゃんは、ライブのこと教えてなかったんですね。夜勤明けの日とかで休ませてあげたかったのかな。気遣いはありがたいけど、お母さんにしてみたら水臭く感じるでしょう。せっかくの娘たちの活躍の場を見逃す手はなかったはずです。普段構ってやれないからこそ、ハレの舞台は応援したかったでしょうね。でもこれからその機会はいっぱいあるはず。楽しみですね。

あとちょっと興味があるのが、知らない間に娘姉妹がより一層仲良くなってるのに気づいたら、お母さんどう思うかなと。少し妬けるかも? でもそれ以上に嬉しいでしょうか。意味ありげに視線を交わして笑いあうだけの "かな・はる" と、それを見てちょっとむくれて、でもやっぱり微笑むお母さんを想像して、幸せな気分になった第 7 話でした。

出典:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第7話

*1:ソロルラテン語で「姉妹」だそうです。

*2:5 話で「張り切っちゃうよ」と宣ってたときとは全然雰囲気が違いますね。

*3:A パートのラスト。アルバイトのシーンは皆さん気づきましたか……? 私は某所でネタバラシを見るまでまったく分かりませんでした。4,5 回は見てたはずなのに。(ご存知なければ、アバンでの陳列棚と見比べてみてください)