私にも何かが始まる? <ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第 1 話 感想>

主人公侑ちゃん

まずは主人公である侑ちゃんについて語りたいところですが――。

スクスタでの顔のない「あなた」

でもその前に、少し自分語りからさせてください。

リリースされてすぐ、私もスクスタ*1を始めました。

スクスタではお話の主人公はプレイヤーでしたね。プレイヤーである私は「あなた」としてゲームの中に入り、キャラクターたちとやり取りをしながらお話が進みます。この手のゲームとしてよくある形だと思います。

出典:ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS メインストーリー 第1章 第1話

ですが私にとっては「あなた」の行動力があまりにも高すぎて、勝手に動いているように感じてしまい、そこが合わなかったんです。*2「あなた」が自分の分身とは思えず、かといって「あなた」にはビジュアルもボイスもないため、一登場キャラクターとしてもなかなか考えられませんでした。

お話を楽しみたいのに、根本のところでストレスを感じるのです。結局私は日本語版を 4 章くらいでギブアップしてしまいました。

侑ちゃんの登場

アニメで「あなた」に絵が付き声が付き、具体的なキャラとして侑ちゃんが生まれたのは、私にとって僥倖でした。お話を見ていて変な引っ掛かりがなく、すんなりと世界に没頭できます。

1 話冒頭を見ながら、私は魅力的なキャラクターたちが動いているのを見たかっただけで、私自身がそこに入っていきたいわけじゃないんだなあと、まずそんなことを感じました。

「あなた」が侑ちゃんとなった今、ゲームでは苦手に感じていたその行動力は、逆に魅力的に感じます。多分私に無いものだからなんでしょうね。気になったことはすぐに飛び込んでみる。羨ましくあります。

「ときめき」ってなんだろ

さて、それではアニメの話に入っていきましょうか。

ときめきを探していた彼女は、たまたま遭遇したせつ菜のライブに一瞬にして心を奪われ、スクールアイドルの世界に入っていこうとするわけですが、まずその「ときめき」って何だろうなと思ったのですよ。

出典:TV アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第 1 話

主人公が偶然ライブを目にしてアイドル活動に興味を持ち始めるのは、無印、サンシャインでも同じでしたね。

穂乃果や千歌ちゃんはそこに表現方法の可能性を見出しました。廃校を阻止する手段として、または自らが輝く手段として、スクールアイドルはおあつらえ向きに感じられたのでしょう。二人はどちらも自らが主体となって動き、外に対してアピールするモノとして、アイドル活動を捉えています。

それに対し侑ちゃんは、(アイドルに)完全にときめいちゃったと言うんですよね。

ときめく (自五)[一](喜び・期待などで)胸がどきどきする。[名]ときめき (新明解国語辞典 第七版より)

興奮を覚え胸が高鳴るのは、外からの刺激に対する反応です。見聞きしてだけじゃなく、自分で何かを体験してときめくこともあるでしょうが、その場合でも行為そのものではなく、それを通して得られる五感のフィードバックがキーだと思います。

ときめきとは輝きのように自ら外に発するものではなく、もっと内にあるもので、基本的には外から受けた何かに対する「従」なのでしょう。

私の代理としての主人公

侑ちゃんがそこに重きを置いていたというなら、歴代の主人公とはやっぱり違ってくるんでしょうね。

と、そこまで考えたところでふと思い当たりました。スクールアイドルのパフォーマンスに興奮を覚えるのは一緒でも、そこで「私もそうなりたい」と考えるのではなく、側に居て(あるいは遠くからだとしても)応援したい、盛り上げていきたいと思うのは、ああそうか、私(たち)と一緒なんですね。

私もスクールアイドルたちのライブやお話やその他活動にときめきを覚え、どっぷりハマって応援を始めたクチです。かっこよくて、かわいくて、輝いていて、そんな存在には目一杯ハジケてほしいですし、側で見ていたいです。

前段で「私≠侑ちゃん」というような書き方をしましたが、それでもやっぱり侑ちゃんはもう一人の私なのだろう思うと、お話の構図が少し腑に落ちたのでした。

もう一人の主人公歩夢

次に歩夢ですね。この子はアイドルを応援する立場の侑ちゃんとは違って、自分自身がアイドルになろうとする、いわばもう一人の主人公なのだと思います。

侑ちゃんと歩夢の仲の良さと主導権

冒頭から仲の良さを見せつけてくれていましたね。口元を拭うシーンはちょっとアレでしたが、「ほら、寄って寄って」だけでごく自然に写真を撮る感じなんて、ホント羨ましいなあ。

出典:TV アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第 1 話

二人の関係はもちろん幼馴染ですが、何かをしようとアクションを起こすのは主に侑ちゃんなんでしょうか。歩夢はそれに追従するような感じですかね。たった 1 話だけでは判断が付きづらいのですけど、歩夢が躊躇していてもお構いなしにグイグイ引っ張っていく侑ちゃんの感じからそんな印象を受けました。

歩夢の心の機微

実はこの記事を書くにあたって 1 話を見返してきたのですが、なかなかどうして歩夢の心の機微もうかがえる描写がなされていたことに驚きました。お話は侑ちゃんが主体で進むので、最初見た時はどうしてもそっちだけに目が行っちゃってたみたいで……。

出典:TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話

かわいいとは思うけど、子供っぽいって。
もうそういうのは卒業だよ。

まず冒頭のシーンで、愛らしい服を最初に見つけてたのは歩夢だったんですね。侑ちゃんがその服に気づいたのは彼女の視線を追ってから。侑ちゃんに似合うと思うと言われた歩夢は結局否定しちゃいますけど。うーん。

せつ菜のライブの次の朝、マンション前の待ち合わせであくびをしているのも細かいですよね。幼馴染を起こすために電話をかけた時にはもうすでに身支度を済ませているような彼女が、理由もなしに睡眠不足なんて考えにくいですもの。いろいろ調べていたと、後で自分でも告白してましたが、ライブ後ハイテンションにまくし立てる侑ちゃんに引いてたのかと思いきや、それだけじゃなかったというわけですね。

あとは、帰りの待ち合わせで部室棟の案内を見上げていたりとか、いきなりスクールアイドル同好会に引っ張っていこうとする侑ちゃんに私、まだ……。と返したりとか、璃奈ちゃんにあなたも?(スクールアイドルが好きなの?)と聞かれた際には目をそらして曖昧にごまかしていたりとか。

出典:TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話

興味津々なのにそこに飛び込んじゃダメだと自制する様子は、後の告白で効いてくるように思います。

誘ったのは歩夢から

出典:TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話

自分の夢はまだ無いけどさ
夢を追いかけてる人を応援できたら……。
私も、何かが始まる。
そんな気が、したんだけどな。

いつも行動力を示してくれる侑ちゃんの、ときめきを見つけたと思った瞬間にそれが潰えたというこの独白を聞いて、歩夢は何を思ったのでしょうね。

ここで諦めてしまった侑ちゃんに、歩夢の方から勇気を出して誘いをかけたのは、すごく良かったように思います。自信がなくて今まで言い出せなかったけれど、しっかりと夢を持っている自分の隣には、夢を追いかけている人を応援したいと言っている幼馴染。

私だったらそこで自分からやってみようって言えるかな……。

ふたりで――
ふたりで始めようよ。

ピンクとか可愛いも服に憧れを持っていても、高校生にもなるとそういうものからは離れざるを得なくなりますよね。でもおもいは消えるようなものではなく、だんだんそれを隠して生きるようになっていくのは寂しいものです。

けれどもそれを表現していい場所を見つけた。見つけてしまった。

ひとりでは心細くて踏み出せない世界でも、隣で支えて応援してくれる人が居てくれるなら歩いていける気がする。背中を押してくれる人が居るのは心強いものですよね。

出典:TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話

気心がしれた幼馴染が相手でも、ずっと秘めていた自分のおもいを吐露するのはさぞ勇気がいったことだと思います。頑張ってその一歩目を踏み出した彼女には拍手!

二人がうまく噛み合ってホントよかったね。

その他に

1 話は始終侑と歩夢の二人で進むので、述べたいことは以上で大体なのですけど、もう少しだけ気になったところを付け足させてください。

追体験としてのライブ観賞

「CHASE!」の演出はド派手でしたね! 爆風に巻き込まれるような演出に圧倒されてしまいましたが、侑ちゃんの心情としては正にそんな感じなんだろうと思いました。実際、彼女にはそう見えてたんでしょう。それだけせつ菜のパフォーマンスがすごかった。

アカペラから入った歩夢の 「Dream with You」に伴奏が付き、衣装やステージまで展開していったのも同じことでしょうね。やっぱり侑ちゃんにはそう見えていた。

これってすごく不思議な感じがします。私はスクールアイドルたちのライブを見てるはずなのに、それは侑ちゃんの感じたことを追体験する形をとっているんですよ。とても興味深いです。

私はアニメの中のアイドルたちを応援しながら、アイドルを応援する侑ちゃんをも含めて応援している。入れ子のような関係でしょうか。同じアイドルライブでも無印やサンシャインとは少し意味合いが違ってくるんでしょうね。

主人公が観客側の視点を持っていることが、こんな一風変わったテイストを加えてくれるとは面白い気づきでした。

メンバーの顔見せ

他のメンバーの顔見せもありましたね。それぞれの背景だったり人柄だったりが、なんとなく分かるような切り取り方をされていて嬉しくなりました。これは予備知識があるからこその特権ですね。

中でも特に印象に残ったのは愛さんでしょうか。誰に聞いても分からなかったスクールアイドル部の情報を彼女だけは知ってて、そこに交友関係の広さが垣間見えるのが良いなあと。

出典:TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話

あと璃奈ちゃんの表情に吸い込まれそうになったことを告白します。表情が乏しいと距離感が捉えづらく、不思議な感じになりますね。あれでいて、その内にはしっかり伝えたいおもいがあったりするんだもんなあ。彼女の話もどう展開するのか気になります。

終わりに

第 1 話を見終えて

感想を一言でまとめるなら、スクールアイドル(及び候補)のせつ菜や歩夢にときめきを感じると同時に、私と同じ立場にいる侑ちゃんにもときめきを感じる、やっぱり入れ子のような印象を受けた、といったところでしょうか。

ときめくって素敵なことですよね。侑ちゃんの言葉を借りるなら、夢を追いかける彼女たちを応援する私にもまた、何かが始まるんでしょうかね。笑 2 話以降も楽しみです。

もひとつ

えーっと、実はこうやってリアルタイムで好きな作品を追いかけながら、自分の感想を述べるのは初めてです。せっかく感じたこともあるのだからと記事を書き始めてみましたが、ちょっと書くだけなのにかなり悪戦苦闘を……。

四苦八苦しながらもまとめたつもりではいますが、読めるものに仕上がっているでしょうか。私の感じたことが何かしら伝れば幸いです。

*1:ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

*2:ゲームの良し悪しの話ではなく、あくまで「私が」合わなかっただけです。