彼女の見る先はどこなのだろう <ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2 期 第1話「新しいトキメキ」感想>

やっっっっと「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 TV アニメ 2 期」を見始めました!

ので感想を書き散らしていこうと思います。シリーズはとっくに最終回を迎えているというのに、大遅刻も大遅刻ですね。一応一話ごとの投稿にしようと考えていて、第 1 話しか見ていない状態で今これを書いています。

ただ——シーズン中や放送後もネタバレに触れに行くことは極力避けてはきましたが、嫌でも目に入ってくる情報があって大体の話の流れは知ってしまっているのですよね。純粋な話数ごとの感想にならない点がちょっと残念です。

作品を楽しむだけなら、私、ネタバレは全く気にしないのです。でもこうして小出しにアウトプットをするときに足枷になるんですね。ならば通しで見て全体の解釈なりを出せば良さそうなものですが……、それは上手くまとめられそうにないかなあ。個々の場面にテキトーにツッコミを入れる形での感想とさせてください。

言い訳はともかく、第 1 話の内容に入っていきましょう。

導入

まず劇中のプロモーションビデオが、そのまま物語の導入になっているのが面白いですね。

これを単純に第 2 回 SIF 用の PV だと見ると、非アイドルの侑ちゃんをセンターに配置する意義を図りかねますか。ですがこれは 2 期のツカミです。劇中作と見せかけてその実、視聴者へ向けてになっているのかなって。似たようなのは他でも見かけますよね。*1 賛否分かれるやり方なのかもしれませんが私は好きです。

イメージビデオにして 1 期のあらすじ代わりに放り込んであるのが上手いなと思いました。各メンバーのエピソードは独立していましたから、まとめてダイジェストにするのは難しいでしょうから。

また映像の入りが 1 期の第 1 話オープニングと同じ作りになっているところを見ても、意識して作ってあるのがわかります。

1 期の頭と同じといえば、お隣さん同士の朝の描写もでしたね。

アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2 期」第 1 話より

例えば、侑ちゃんが夜遅くまで作業してそのまま寝てしまえるのは、翌朝はちゃんと幼なじみに起こしてもらえるからです。甘えていますよね。笑

ずっとべったりだった侑と歩夢は、1 期終盤で別々の目標に向かって歩き出すことを決めました。でもそれで二人が全く別の生き方をするわけじゃありません。変わる二人の関係の中にも、依然変わらないものだってたくさんあります。

朝の様子はそのうちの一つなのでしょう。導入部でこうして変わらない二人を見せてもらえるとなんだかほっとします。虹の世界に戻ってきたんだーって、そんな気分になります。

侑ちゃんの姿勢

さて、2 期でまず最初に描かれる物語の柱は、侑ちゃんと嵐珠のスタンスの違いでしょうか。「やりたいこと」をやっている二人が、それぞれどう成し遂げようとしているのか。

侑ちゃんは自分の夢を追うだけでなく、その夢を与えてくれた場所、スクールアイドルにも関わり続け、何か還元できるモノはないかと模索しています。いわば二足のわらじを履いているわけですね。

で、そこを嵐珠に指摘されていましたね。自分の夢があるならそっちに専念すべきじゃないかと。

前シーズンは侑ちゃんが自身の夢を見つけたところで幕を閉じていました。ならばこの嵐珠のセリフは、シーズンが改まった今、最初に来るべき当然の指摘だと思います。

夢を追いかけている人を応援できたら……。 私も、何かが始まる。

1 期冒頭で侑ちゃんはそう言っていましたものね。1 期全体を彼女のお話として捉えるなら、「私」にも始まるその何かを探し求める物語でしょう。スクールアイドルを応援していたのはそのための手段だとか “つなぎ” だと見ることもできます。(言い方がちょっと意地悪かな?)

ともあれ、その何かは見つけられたんだよね。じゃあスクールアイドルの方はどうするの? 問題提起としては妥当ですね。

「見つけた夢を追います。スクールアイドルは、さいならっ!」 ……ではお話が終わってしまいますので(笑)、侑ちゃんには是非アイドルの応援を続けてもらいたいところです。何かを見つけたからといって、必ずしも別の何かを手放さなきゃならないってわけではありませんから。*2

でも「やりたいこと」が二つ。体が一つしかない以上、両方ともを 100 % ずつで追うのは無理です。折り合いをどうつけるか、または融合させるような形でも構いませんが、その答えを出すのがお話の軸の一つになるのかなあ。

「夢」のほう、転科先ではいささか苦労しているように見てとれましたが、それでも嵐珠に啖呵を切った様子からは侑ちゃんの芯を感じられましたね。これからの展開に期待です。

嵐珠のほうは

一方で嵐珠はわかりやすい。目標に向かってただまっすぐに。

感銘を受けたものがあれば即その世界に飛び込んで自分でも手を出すし、やるからには当然一番を取りに行く。そんな感じでしょうか。

まず自分で動きたい娘なんでしょうね。人の応援などでは気が済まない。

私などはその不器用さも相まって、自分もすぐにやってみるという発想には至らないのですよ。やらない理由を探しちゃう。侑ちゃんに出会ったときにも同じことを思いましたが、嵐珠の行動力もホンット羨ましい。新しいことを始めるにあたって、つきまとう不安などより期待のほうが断然大きいんでしょうね。

そして彼女は自信家。……と言いたいところですが、その自信を裏打ちするモノのほうが大事ですね。ストイックさかな。目標を明確に定め、やるべきことを把握して、それに向けて努力を怠らない。

一切妥協していないから自分を信じられるし、その自信がパフォーマンスにも乗って現れるのだと思います。「私は完璧」だと言い放って圧倒的な存在感を見せつける姿はカッコよかったですよね!

そう、嵐珠は歌に入る前口上からもうイイんですよねぇ。

スクリーン前に立った彼女は中国語でホール中に呼びかけていました。母語は他でもちょくちょく出ていますが、ここは短いながらも何かしらの中身を伴う文でしたね。簡単な挨拶などとは違います。いきなり呼びかけられても何を言っているのかさっぱり解らない。

でもいいんです。こっちに理解はできない言葉で、でも彼女が自信たっぷりに述べるから意味があると思うのです。*3

圧倒するとはこういうことを言うのでしょう。話している内容はわからないのに意識を持っていかれるんですよね。傾注させられてしまいます。嵐珠は理解した上でやってるんだろうなあ。聴衆の捕まえ方をよく知ってますよ。

Eutopia

お約束の領域展開から始まった「Eutopia」は、”圧倒的に stunning” の歌詞が示すとおり、観客の目と耳とを奪ってその彼女の世界に引き込んでいきます。

私も思わず息を飲んだのです。でも圧倒されると同時に、どことなく寂しい印象を受けて不思議な気持ちになりました。

どうにも、彼女が歌っている相手の顔がよく見えないからかな? 具体像がよくわからない。

your heart を高く連れて行く、ドキドキをあげる、射抜いてあげるなどと歌ってても、その対象が「歌い手=嵐珠」にとってどんな存在なのかが全然見て取れないんです。一方的に与えるだけで、逆に受け取ろうとするものが何もないから。

嵐珠
でも与えるだけでいい

ホント相手には何も期待していないのですね。

広く与えてその対象を選ばないのは、力を持つ者として正しい姿勢なのかもしれません。しかし「誰だっていい」とまでなってしまうと少し事情が違うように思います。

期待しないということは、相手に関して一切の頓着をしないということ。与えるだけ与えてあとは投げっぱなし。どんな人なのか知ろうとしないし、何をやっているかもどうでもいい。そんなふうになってしまいませんか。

MV では他の人物が黒塗りで登場していて、なおかつ嵐珠とは視線も合わない様子だったのが印象的でした。曲の途中、ホールに居るはずの観客の様子が映されなかったのも同じ意図かなあ。

アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2 期」第 1 話より

また他にも気になったのが、「孤城から見る景色/知っているの私だけね」のフレーズです。大切なもののように歌いながらも、それを「あなた」に見せてあげるってわけじゃないんですよね。続くセリフで「それだけ私が完璧ってことなのよ*4」みたく言ってはいますが、結局のところ一人であることを確認するだけのくだりです。

「孤城」がキーワードなんでしょうか。

中国語発音だったので念のために機械翻訳にかけてみたら「孤独な街」と出てきたんですよね。中国語は門外漢なのですけど、どうやら中国語の「城」は日本でイメージする城そのものでなく、周りの城下町も含めて「城」なのだとか。城壁で囲まれている街全体を指すみたいです。*5 ここではその意味で捉えちゃっていいのかな。

日本語の孤城も寂しい印象がありますが、こっちはそれ以上のモノに思えます。街だから一通り揃っていて外から必要とするものはない。つまり内側だけで完結する世界なのですけれども、そこに居るのは一人だけ。そして誰を連れてくるってわけでもない、と。

荒涼とした街中にぽつねんと立っていることを想像してしまって、孤高というよりはむしろ孤独という単語が思い浮かびます。

そうですね。ランジュ、確かにあなたはスゴイ。完璧で一番なのかもしれません。でも、ならどうして殊更に完璧だ、一番だと強調したがるんでしょう。

「Top of the world」のフレーズを聞いて、ふと私の頭に思い浮かんだのがカーペンターズの同名の歌でした。あちらは愛する人と一緒にいられる喜びを歌った曲です。何を見ても何を聞いても幸せに感じられて、そのあふれ出る嬉しさを詩にのせた歌ですね。それと比較してしまうからか、彼女の言う「世界の頂点」はどうにも空虚に聞こえるんです。

実際彼女には一番だと言い張れるだけの実力があるので、虚勢とまでは言いません。でも多少無理をして強がっているようにみえます。

力があるなら、それを見せつけてどっしりと構えていればいいのです。比肩する者はいないのでしょう? なら一番であることをそう何度も主張しなくていい。だって人が見ればそれだけで凄いのはわかるのですから。

なのに再三繰り返すのは、それしか拠り所がないからなのかしら。そんなことを考えてしまう歌でした。

矛盾

相手を見ていないに多少関連して、曲以外にも気にかかることがあります。

嵐珠は自分に厳しいですよね。そして人にも厳しい。侑ちゃんにわざわざ苦言を呈したのはタブンそういうことでしょう。夢を見つけてやるべきことがあるなら別のコトにかまけてる暇なんてないんじゃないのと。

たとえ他人であっても頑張っていない(ように見える)のが我慢ならないんでしょうね。自分はもちろんのこと、人にも強い独立性を求めるんだろうなあ。

ですがアイドルは夢を与える存在だとも言っています。この二つは矛盾するように思えるんです。

夢を与えたら、ファンが夢を見つけたら、そのファンはどこに向かうのでしょう。自分の夢だけを追いなさいと主張するなら、彼らは結局嵐珠の下から出ていくことになりませんか。そのことについてはどう考えているんでしょうね。

注目を浴び、ファンを沸かせても、すぐに離れていってしまう。

その先に作り出すモノがないように思えます。外には何も求めず一人で完成してしまっているって、そういうことなのかもしれません。もしそうなら寂しいですね。

それでもカッコイイ

それでもです。やっぱり嵐珠は格好いいと思うのですよ。

最後のシーン、9 対 1 でもまったく引けを取ってませんでしたよね。自分の哲学に筋が通っているから自信にあふれていて。一切揺るがないところが本当にシビレます。(その自信を私にも少し分けて欲しい。><)

人数差にもかかわらず嵐珠がずっと強く見えるこの図が好きなんですよ。侑ちゃんとの身長差、遠近法、柱の陰などの効果がうまくはたらいてるなって。良くないですか?

アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2 期」第 1 話より

さて、同好会とは物別れに終わった後、嵐珠のこの先の話は……大筋では知ってしまってますが、実際に彼女がどう動いていくのか気になりますね。”ここから始まる全て” を楽しみに視聴していこうと思います。

Y.G. の生徒

最後に TMI(Too Much Information/どうでもいい情報)を一つ。

スクフェス転入生組では甘口カレーアイドル・ラクシャータちゃんが私の贔屓です。やわらかい笑顔の虜なんですよ。出ているとは聞いていましたけど、動いているのを見るとやっぱり嬉しい!

アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2 期」第 1 話より

*1:例えばサンシャイン!! 1 期第 13 話、MIRAI TICKET 前のくだりはそうだと思っています。

*2:どこかで聞いた歌詞のもじりですね。

*3:英語字幕は “All eyes up here! Or you’re going to miss out!” となっていました。字幕 on で見ていたので初見で意味が頭に入ってきてしまって、これは失敗だったなあと。

*4:英語字幕で出ていたものを和訳しただけです。元の中国語の正しい意味を取れているかはわかりません。

*5:参照したのが主に wikipedia なのであまり誉められたもんじゃないですね。